コラム
解熱剤の使い方
高熱による脳の後遺症を恐れて解熱剤を頻繁に使用する方がいますが、通常の高熱(40℃くらい)だけでは脳がダメージを受けることはありません
(細胞内のタンパク質が変性し、 臓器の機能不全を引き起こすような、極端な高熱はその限りではありません)
髄膜炎・脳症・脳炎などの病気では、 症状として高熱がみられますが、高熱が原因で脳にダメージを受けるというわけではありません
解熱剤は、 機嫌や食欲などの全身状態を見て、 熱を冷ますことにメリットがあるタイミングで使用するとよいと思います
解熱剤を使用すると熱と病気の経過が少しわかりづらくなりますが、水分や睡眠がとれない状態で親子ともに疲弊するくらいなら、一旦熱を下げてあげたほうが良いでしょう

ちょっとした豆知識
解熱剤の使用により病気が治るまでの期間が変わるという明確なエビデンスはありません
(昔、 水痘患者で比較して解熱剤非使用群の方が発疹の数が少なかったという文献は見たことがありますが)
尚、 アスピリン(市販の小児用バファリンはアスピリンではありません)は、インフルエンザBや水痘とは相性が悪いため注意が必要です
咳止めを積極的に処方しない理由

咳が出ている「そもそもの原因」や「悪化させている要因」を取り除くものではありません
咳が出ている状態は、身体に何かに反応して対処しようとする過程と考えられます
正常化しようとしている過程をやさしく後押しするのが当院の方法です
咳嗽の原因や悪化させる諸要因(喀痰が切れにくい・気管支が過敏になる・副鼻腔の炎症)を改善していくような工夫をしています
咳嗽の性質に応じた漢方薬を勧める場合があります(美味しくないかもしれませんが…)
(「はちみつ」には鎮咳作用が期待できるので、漢方薬と一緒に処方できます)
なお、マクロライド系(クラリス・エリスロマイシン)は抗生物質に分類されますが、
気道の状態を改善するため、長引く咳や副鼻腔炎の治療などで長めに使用することがあります
「はちみつ」などの鎮咳効果について言及されています(ただし1歳未満は使用できません)
抗ヒスタミン薬を積極的に出さない理由
抗ヒスタミン薬は鼻水やくしゃみを改善し、皮膚のかゆみによく効きます
ですが、鼻水がドロドロになり、鼻詰まりがひどくなってしまうとも!!
鼻詰まりの結果、耳や副鼻腔の状態が悪化することがあります
鼻が詰まって口呼吸になると、病原体の気道侵入を防止する「鼻呼吸のフィルター機能が損なわれます」
当科では、ロイコトリエン拮抗薬(モンテルカストやプランルカスト)や漢方薬などで鼻の通りを改善する工夫をしています